(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2002−13767(P2002−13767A)
(43)【公開日】平成14年1月18日(2002.1.18)
(54)【発明の名称】空調システムおよびその省エネルギー量算出システム
(51)【国際特許分類第7版】
F24F 5/00 102
11/02 102
103
【FI】
F24F 5/00 102 A
11/02 102 B
103 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2000−190730(P2000−190730)
(22)【出願日】平成12年6月26日(2000.6.26)
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
(72)【発明者】
【氏名】速水 英樹
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 悦雄
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小西 芳文
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富徳
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
【テーマコード(参考)】
3L060
3L061
【Fターム(参考)】
3L060 AA02 AA03 CC08 CC15 DD06 DD08 EE31 EE34 EE41
3L061 BA03
(57)【要約】
【課題】 省エネルギーを図れる空調システムを提供するとともに、省エネルギー量を有効に算出する。
【解決手段】 地下に設置した冷媒蓄熱槽からビルディング内の各階の部屋などに備えた空調負荷に、ポンプ4により冷媒循環ラインを通じて冷媒を供給する。冷媒循環ラインの冷媒蓄熱槽に近い帰還側箇所に、水車と発電装置から構成されたエネルギー回生装置30を設け、冷媒の位置エネルギーを電力として回収する。ポンプ4にポンプ送出量測定装置11を設け、ポンプ4の駆動に伴い、ポンプ送出量Q(t)(m3 )を測定する。ポンプ送出量Q(t)と、予め特定される冷媒ヘッドH(m)、冷媒の比重量γ(kg/m3 )とから、省エネルギー量W(t)=γ*Q(t)*H……(2)
を算出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大気に開放された冷媒蓄熱槽、冷媒循環ライン、ポンプからなる空調システムにおいて、冷媒の位置エネルギーを回収するエネルギー回生装置を備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項2】 エネルギー回生装置が水車と発電装置とからなることを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項3】 エネルギー回生装置に、ポンプ送出量測定装置を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の空調システム。
【請求項4】 請求項3に記載の空調システムの省エネルギー量を算出するシステムであって、ポンプ送出量測定装置より測定されたポンプ送出量から、省エネルギー量を、下式で算出することを特徴とする空調システムの省エネルギー量算出システム。
省エネルギー量W(t)=γ*Q(t)*Hここに、Q(t):ポンプ送出量測定装置より測定されたポンプ送出量(m3 )
H:冷媒ヘッド(m)
γ:冷媒の比重量(kg/m3 )
t:時刻【請求項5】 省エネルギー量の情報を空調システムのメモリー部に記憶させておき、空調システムに備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けた場合、あるいは予め設定された時間がきた場合、空調システムに備えられた通信装置により、前記省エネルギー量情報を前記外部通信装置に発信し、外部データシステムのメモリー部に記憶させることを特徴とする請求項4に記載の空調システムの省エネルギー量算出システム。
【請求項6】 省エネルギー量を請求料金に換算させる請求項4または5に記載の空調システムの省エネルギー量算出システム。
【請求項7】 運転状況、故障の経歴を記憶させる請求項4、5、6のいずれかに記載の空調システムの省エネルギー量算出システム。
【請求項8】 当該システムに故障が起こった場合、空調システムに備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けなくても、空調システムに備えられた通信装置により、故障情報を外部通信装置に発信することを特徴とする請求項4、5、6、7のいずれかに記載の空調システムの省エネルギー量算出システム。
詳細な説明
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気に開放された冷媒蓄熱槽、冷媒循環ライン、ポンプからなる空調システムおよびその省エネルギー量算出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、大気に開放された冷媒蓄熱槽(開放式冷媒蓄熱槽ともいう。)、冷媒循環ライン、ポンプからなる空調システムが有った。この従来システムでは、大気に開放された冷媒蓄熱槽を設けて、ビル内の冷媒循環ラインを通じてポンプで冷媒を循環させ、冷媒を冷媒蓄熱槽に帰還させていた。冷媒は、多くの場合、水などの液体である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビルが高層になればなる程、冷媒のヘッドに基づくエネルギー損失が問題となっていた。また、大気に開放されていない冷媒蓄熱槽(密閉式冷媒蓄熱槽ともいう。)、冷媒循環ライン、ポンプからなる空調システムも有ったが、ビルの高さが10mを超えた場合、サイホンの原理から、冷媒の位置エネルギー損失を回生することはできず、問題となっていた。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1、2、3に係る発明は、省エネルギーを図れる空調システムを提供できるようにすることを目的とする。また、請求項4、5、6に係る発明は、省エネルギー量を有効に算出できるようにすることを目的とし、請求項7、8に係る発明は、メンテナンスを有効に行えるようにすることを目的とする。
【0005】請求項1に係る発明は、上述のような目的を達成するために、大気に開放された冷媒蓄熱槽、冷媒循環ライン、ポンプからなる空調システムにおいて、冷媒の位置エネルギーを回収するエネルギー回生装置を備えて構成する。大気に開放された冷媒蓄熱槽(開放式冷媒蓄熱槽ともいい、単に冷媒蓄熱槽という場合は、開放式冷媒蓄熱槽を指す。)とは、冷媒を貯めることによって蓄熱するための貯槽であって、冷媒面が大気に通じている貯槽である。ビルの地下室に設置される場合が多い。冷媒は、通常の場合、水が用いられる。冷媒蓄熱槽において、冷媒循環ラインの送出側と帰還側とは、反対側に設けられるのが通例である。もしくは、仕切り板を設けて送出側の冷媒と帰還側の冷媒とが混ざらないようにするものもある。冷媒循環ラインとは、開放式冷媒蓄熱槽に貯えられた冷媒をポンプにより送出して、ビルの各階層を通った後、開放式冷媒蓄熱槽に帰還するように配管されている。
【0006】また、請求項2に係る発明の空調システムは、前述のような目的を達成するために、請求項1に係る発明におけるエネルギー回生装置を、水車と発電装置とから構成する。冷媒の位置エネルギーを回収するエネルギー回生装置には、■純機械式と■電気式が有る。■は、ポンプの軸と水車の軸とを機械的に連結した構造をしたものであり、いわば、揚水発電の構成を取り入れたものである。■は、ポンプの軸と水車の軸は自由に独立して設けられ、水車の軸を発電機の軸と連結させて、発電させることにより、発電した電力をポンプの動力として用いる冷媒の位置エネルギーを回生するものである。
【0007】また、請求項3に係る発明の空調システムは、前述のような目的を達成するために、請求項1または2に係る発明におけるエネルギー回生装置に、ポンプ送出量測定装置を備えて構成する。ポンプ送出量測定装置とは、ポンプ送出量(積算値)を測定する装置である。空調システムの省エネルギー量を測定するうえで、ポンプ送出量を測定することが簡便だからである。
【0008】また、請求項4に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項3に記載の空調システムの省エネルギー量を算出するシステムであって、ポンプ送出量測定装置より測定されたポンプ送出量から、省エネルギー量を、下式で算出することを特徴としている。
省エネルギー量W(t)=γ*Q(t)*Hここに、Q(t):ポンプ送出量測定装置より測定されたポンプ送出量(m3 )
H:冷媒ヘッド(m)
γ:冷媒の比重量(kg/m3 )
t:時刻この省エネルギー量は、ポンプが重量γ*Q(t)の冷媒を高さHまで持ち上げるエネルギー量である。エネルギー回生装置を設けていない場合、このγ*Q(t)*Hは無駄に廃棄されていた。なお、冷媒循環ラインのエネルギー損失には、上記のγ*Q(t)*Hの他、配管抵抗損失が有るが、配管抵抗損失は回生されない。したがって、Q(t):ポンプ送出量測定装置より測定されたポンプ送出量(m3 )を測定することができれば、空調システムの省エネルギー量を測定することができる。冷媒ヘッドH(m)とは、ポンプが冷媒を持ち上げる揚程をいう。一般にはビルの高さに比例する。冷媒ヘッドとは、ポンプの運転状況には左右されず、冷媒循環ラインの配管状況によるもので、最初に算出しておけば、以後その数値を使用することができる。現場で簡単に求める方法としては、例えば、エネルギー回生装置を使用する場合のポンプのエネルギー量(ポンプ送出量Q0(m3 )を一定にする場合)とエネルギー回生装置を使用しない場合のポンプのエネルギー量の差が省エネルギー量(ポンプ送出量Q0(m3 )を一定にする場合)に該当することから、省エネルギー量=γ*Q0*Hから逆算して、冷媒ヘッドHを算出することができる。ここに、ポンプ送出量Q0(m3 )を一定にする場合とは、一定期間t1〜t2ポンプを運転して、ポンプ送出量がQ0(m3 )に達すれば、ポンプを停止し、その間のポンプ駆動エネルギーを読み取るものとする。一般には、積算流量計を用いて、ポンプ送出流量を電気信号に変換する。あるいは、ポンプ流量を読み取り、計算機の中で積分して求める方式も有る。また、ポンプの電力量等から逆算して算出する方法も有る。
【0009】また、請求項5に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項4に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムにおいて、省エネルギー量の情報を空調システムのメモリー部に記憶させておき、空調システムに備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けた場合、あるいは予め設定された時間がきた場合、空調システムに備えられた通信装置により、前記省エネルギー量情報を前記外部通信装置に発信し、外部データシステムのメモリー部に記憶させるように構成する。空調システムに備えられた通信装置とは、発信部と受信部を有する装置であって、外部通信装置と省エネルギー量情報等を交信するための装置である。外部通信装置とは、発信部と受信部を有する装置であって、空調システムに備えられた通信装置と省エネルギー量情報等を交信するための装置である。コール信号とは、外部通信装置の発信部により、通信装置を起動させて、メモリー部に貯められた省エネルギー情報を入手するための信号であり、外部通信装置を識別するための暗号信号でもある。このコール信号を受信した通信装置は、メモリー部に貯められた省エネルギー量情報をメモリーから引き出し、通信装置の発信部から、外部通信装置の受信部に向けて発信する。省エネルギー量情報とは、狭義には、空調システムの省エネルギー量を算出するのに必要な種々のデータ、情報をいう。基本的には、■システム識別信号■時刻t1、t2(予め、t1、t2が既知である場合には、省略も可能である。)■ポンプ送出量Q(t2)(期間t1〜t2の間の空調システムのポンプ送出量Q(t2)−Q(t1)をいう場合もある。)であるが、この他、時間毎の運転状況(空調システムを運転しているか否かの情報)等の空調システムの省エネルギー化を図るのに必要な情報を含む。システム識別信号とは、各現場に分散配置された当該システムを識別するための信号であり、通信装置の発信部から、外部通信装置の受信部に向けて発信する場合、システム識別信号と省エネルギー量情報を発信する。システム識別信号により、何処に配置された当該システムの省エネルギー量情報であるかを識別する。空調システムに備えられた通信装置と外部通信装置との通信手段としては、無線、インターネット、電話線等が考えられる。
【0010】また、請求項6に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項4または5に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムにおいて、省エネルギー量を請求料金に換算させるように構成する。
【0011】また、請求項7に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項4、5、6のいずれかに係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムにおいて、運転状況、故障の経歴を記憶させるように構成する。
【0012】また、請求項8に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項4、5、6、7のいずれかに係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムにおいて、当該システムに故障が起こった場合、空調システムに備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けなくても、空調システムに備えられた通信装置により、故障情報を外部通信装置に発信するように構成する。当該システムに故障が起こった場合とは、空調システムに必要な負荷情報を、例えば、空調システムの運転システムから命令信号として受け取っているにも拘わらず、空調システムのポンプ送出量の微分値(ポンプ送出量の時間当たりの増加量Q(t)/dt)が所定値よりも低い場合等をいう。上記の場合、例えば、時間t毎に空調システムのポンプ送出量を測定して、時間tと時間t+dtの空調システムの時間当たりのポンプ送出量Q(t)/dtを算出して、空調システムに必要な負荷と比較して、所定範囲内を外れた場合、故障と判断することも考えられる。
【0013】
【作用】請求項1に係る発明の空調システムの構成によれば、エネルギー回生装置によって冷媒の位置エネルギーを回収することができる。
【0014】また、請求項2に係る発明の空調システムの構成によれば、水車と発電装置とによって冷媒の位置エネルギーを回収することができる。
【0015】また、請求項3に係る発明の空調システムの構成によれば、ポンプの送出量を測定することにより、回収したエネルギー量を知ることができる。
【0016】また、請求項4に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムの構成によれば、冷媒の位置エネルギーを回収するエネルギー回生装置による省エネルギー効果を数値化することができる。
【0017】また、請求項5に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムの構成によれば、各空調システムの省エネルギー量情報を外部通信装置に発信し、その外部データシステムのメモリー部に記憶させることができる。
【0018】また、請求項6に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムの構成によれば、省エネルギー量を請求料金に換算し、具体的な金額を知ることができる。
【0019】また、請求項7に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムの構成によれば、運転状況、故障の経歴を記憶する。
【0020】また、請求項8に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムの構成によれば、故障発生時に、それに備えられた通信装置により、外部通信装置に故障情報を自ずと送ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る空調システムの実施例を示すシステム構成図であり、ビルディングB内の各階の部屋などに空調負荷10が設置され、一方、地下に、冷媒蓄熱槽2が設置されている。冷媒蓄熱槽2には、冷房の場合には冷水を蓄え、暖房の場合は温水を蓄える。冷水や温水は地域冷暖房システムから供給されるものを用いるとか、冷温水機によって作ったものを用いるなど各種の手段が採用できる。
【0022】空調負荷10と冷媒蓄熱槽2にわたって、ポンプ4を介装した冷媒循環ライン3が接続され、冷媒蓄熱槽2内の冷媒を空調負荷10に供給し、冷房や暖房を行うように構成されている。
【0023】冷媒循環ライン3の冷媒蓄熱槽2に近い帰還側箇所に、水車と発電装置から構成されたエネルギー回生装置30が設けられ、冷媒の位置エネルギーを電力として回収できるように構成されている。エネルギー回生装置30と商用電力1とがポンプ4に接続され、回収した電力でポンプ4を駆動するとともに、不足分を商用電力で補うことができるように構成されている。ポンプ4には、ポンプ送出量測定装置11(図2参照)が付設されている。
【0024】図2は、本発明に係る空調システムの省エネルギー量算出システムの実施例を示すブロック図であり、空調システムの省エネルギー量算出システムが、空調制御部5と通信装置6とポンプ送出量測定装置11とから構成されている。
【0025】空調制御部5では、各部屋の温度など空調システム負荷情報20を受け、その情報に基づいてポンプ4を駆動するようになっている。ポンプ送出量測定装置11では、上述のポンプ4の駆動に伴い、ポンプ送出量Q(m3 )を測定するようになっている。
【0026】通信装置6では、時刻t2(月の末日の午後12時)になったときなどの予め設定された時間がきた場合とかコール信号を外部通信装置16から受けた場合などに、システム識別信号、空調システムのポンプ送出量測定装置11によって測定された空調システムの月初めから積算したポンプ送出量Q(t2)といった省エネルギー情報を、外部通信装置16に発信するようになっている。
【0027】外部通信装置16では、通信装置6からの省エネルギー情報を外部データシステム(図示せず)のメモリー部に記憶するようになっている。外部データシステムでは、システム識別信号、空調システムのポンプ送出量Q(t2)及びメモリー部に記憶されている前月の末日の空調システムのポンプ送出量Q(t1)から、その月のポンプ送出量を下記式(1)のようにして算出する。
その月のポンプ送出量Q(t)=Q(t2)−Q(t1)……(1)
更に、上記(1)式のポンプ送出量Q(t)と、予め特定される冷媒ヘッドH(m)、冷媒の比重量γ(kg/m3 )とから、下記式(2)に基づいて、省エネルギー量W(t)を算出するようになっている。
省エネルギー量W(t)=γ*Q(t)*H……(2)
冷媒ヘッドH(m)は、ビル内の冷媒循環ラインの配管が決定されれば、ポンプの運転状況には影響されず、時間の影響は殆どない。冷媒の比重量γ(Kg/m3 )も、時間によって変化することは殆どない。
【0028】また、外部データシステムでは、上述のようにして算出された省エネルギー量W(t)を請求料金(請求書)に換算させるようになっている。これにより、顧客から、省エネルギー量W(t)に応じて所定の料金を割り引くといったことを行えるように構成されている。
【0029】なお、故障が起こった場合については、時間dt毎に空調システムのポンプ送出量を測定して、時間tと時間t+dtの空調システムの時間当たりのポンプ送出量dQ(t)/dt)を算出して、空調システムに必要な負荷とを比較して、設定範囲内を外れた場合、故障と判断することにする。例えば、空調システム負荷情報20を、空調システムの運転システムから命令信号として受け取っているにも拘わらず、空調システムのポンプ送出量の微分値(ポンプ送出量の時間当たりの増加量dQ(t)/dt)が設定値(例えば、空調システム負荷の何%とかの値)よりも異常に低い場合は当然に故障と判断される。
【0030】上記構成により、空調システムを運転する都度、従来の場合に無駄に捨てられていた、冷媒の位置エネルギーをエネルギー回生装置30で冷媒の位置エネルギーを回収して、省エネルギー活動を行い、トータルの商用電力量の省エネルギー化を図ることができる。
【0031】また、省エネルギー量情報を外部通信装置16に送信することにより、各地に配置した当該システムの所定期間の空調システムの省エネルギー量を効率的に取得できる。
【0032】別の実施例としては、通信装置6のメモリー部では、運転状況、故障の経歴を記憶させるように構成される。また、外部通信装置16では、通信装置6のメモリー部に記憶された運転状況、故障の経歴の情報を同時に取得する機能が備えられる。これにより、省エネルギー量算出システムや空調システムの故障診断、省エネルギー運転の具体的方法提案等も可能となり、更に有効な情報を顧客に提示できるようになる。
【0033】更に別の実施例としては、当該システムに故障が起こった場合、空調システムに備えられた通信装置6がコール信号を外部通信装置16から受けなくても、空調システムに備えられた通信装置6により、故障情報を外部通信装置16に発信するように構成される。これにより、空調システムに故障が起こった場合、本省エネルギー事業の他に、空調システムのメンテナンスといった維持管理事業も併せて行うことが可能となり、非常に効果が発揮できる。このような機能を付加してもコストアップには繋がらない。
【0034】なお、日本全体としても、1999年4月の改正省エネ法施行で、省エネ計画や省エネ実績の届け出を義務づけられているが、本発明の空調システムの省エネルギー量算出システムを導入すれば、省エネ計画や省エネ実績の届け出の義務を果たすことも可能となり、社会的に有用なものを提供できる。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明の空調システムによれば、従来、無意識に放出していた空調システムの冷媒の位置エネルギーを回収するから、省エネルギーを図れる空調システムを提供できる。
【0036】また、請求項2に係る発明の空調システムによれば、水車と発電装置とによって冷媒の位置エネルギーを回収するから、簡便な手段により安価にして省エネルギーを図れる。
【0037】また、請求項3に係る発明の空調システムによれば、エネルギーの回収に直接的に寄与するポンプの送出量の測定により、回収したエネルギー量を知ることができるから、回収したエネルギー量を精度良く認識でき、より一層省エネルギーを図れる。
【0038】また、請求項4に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムによれば、冷媒の位置エネルギーを回収する省エネルギー効果を数値化するから、省エネルギー量を有効に算出できて回収したエネルギー量を明確に把握できる。この結果、空調システムの省エネルギー量算出システムをビジネスツールとして、例えば、高効率のポンプ(モータを含む。)、高効率の水車、冷媒の位置エネルギーを回収するエネルギー回生装置等を無料で貸与し、節減できた電力料金の一部を受け取るという全く新規なビジネスとしての、高層ビルに設置された空調システム(既設、新設を問わない。)の省エネルギーサービス業を提案創出でき、社会的意義が大きい。
【0039】また、請求項5に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムの構成によれば、多数の空調システムの省エネルギー量情報を外部通信装置に集めることができるから、多数の空調システムの省エネルギー量を人手少なく有効に集めることができる。
【0040】また、請求項6に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムによれば、省エネルギー効果を具体的な金額に換算して知ることができるから、還元するなどの場合に明確に金額を算出でき、前述したようなビジネスとしての発展を促進できる。
【0041】また、請求項7に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムによれば、運転状況、故障の経歴を記憶するから、適宜、それらの情報を引き出すことができ、メンテナンスを有効に行える。
【0042】また、請求項8に係る発明の空調システムの省エネルギー量算出システムの構成によれば、故障発生時に、その故障情報を外部通信装置に送ることができるから、その故障情報によって適宜故障に対処でき、メンテナンスを一層有効かつ容易に行える。
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